EPISODE 02

モバイルワークを試行錯誤するブログ

Ulyssesというエディタ

Ulyssesをインストールした背景

ここ最近iOSで利用するテキストエディタについて色々検討している。現状はマイクロソフトのWordをメインとしていたけど、若干業務の内容が変化したというのもあってドキュメントの作成というよりOneNoteや標準メモアプリに入力したメモを引っ張ってきて、自分自身の考えを整理していくといった要素が強くなってきた。OneNoteや標準メモアプリはあくまでもメモの領域、そしてWordはドキュメントの作成。その中間にあるエディタが抜け落ちているのかなと考えている。

そういう背景もあって、エディタアプリをいくつかApp Storeからダウンロードして試してみたけど、今の所Ulysses(ユリシーズ)が一番ピンときたので使い勝手をメモしておく。

外部キーボードのサポートとキーボードショートカットの充実

普段デスクに座ってiPadでテキストを入力するときは、マイクロソフトのUniversal Foldable Keyboardを使っている。キーボードを使っていると、可能な限りiPadの画面に触れずにテキストを入力編集したくなる。そのためキーボードショートカットを多用するようになるのだけど、キーボードショートカット充実しているか否かで、生産性が大きく変化するのだ。

UlyssesはOSでサポートするショートカット(⌘+c、⌘+xなど)の他に多くのショートカットをサポートしているため、キーボードから手を離すことを極力少なくして目的の文章を書き込んでいくことができる。

⌘キーを長押しして表示されるキーボードショートカット


Workflowアプリとの連携

これも外せない要素の一つ。Workflowアプリを本格的に使い始めてから繰り返しの作業、面倒な作業は可能な限りWorkflowアプリでフローを作成して対応するようにしている。Ulyssesは、Workflowアプリ内でフロー作成をサポートされていた。例えば、標準メモアプリの複数メモを一つのUlyssesに纏めたり、Webページの記事をテキストに変換して保存したりするといった作業をフローにして自動化することができる。

Workflowでサポートされている機能

よく利用しているのは、Workflow内でテンプレートを作っておき、必要な項目は自動入力させるといったフロー。議事録とか定例会のメモをなどは、入力すべき内容が決まっているため、テンプレートを作成しておき、Workflowから必要な項目を自動入力するスタイルの方が効率はよい。少なくともテンプレートの他、開始時刻、開催場所(住所)位であれば簡単に自動入力可能だ。

標準メモアプリでも同じようなことができるが、あくまでもノートの作成だけでフォルダへは手動で振り分ける必要がある。 Ulyssesではグループへの振り分けまで自動化できるため、Ulyssesの方がより快適といえそうだ。

議事録のテンプレート作成フローは以下にシェアしておく。
https://workflow.is/workflows/234d3c6413b94669916da2b906911a52

文字列の検索、置換

標準メモアプリではサポートされていない機能。Ulysses内で検索を行うと対象の文字列の数を表示してくれるのと同時に、ハイライト表示もしてくれる。当然のように置換も行える。ただし一括置換ができないところが、若干残念な点。


SplitView対応アプリ

SplitViewが利用できるようになってからかなりの時間が経過していることもあり、最近リリース、更新されたiPad用のアプリはほとんどSplitViewに対応している。そのためあえて取り上げるような要素ではないけど、使えないと困ってしまう機能だ。他のメモアプリからのテキストのコピーはもちろん、ブラウザで閲覧している内容をコピペしたりメールの内容をコピペしたりする際に、個人的には必須となっている項目。

Ulyssesの機能ではないが、iOSのユニバーサルクリップボードも利用できるのでiPhoneでコピーしたテキストをiPad側でペーストする(逆も)といった使い方もできる。SplitViewを使いたくない状況の時はiPhoneとiPadをリアルタイムに連携させながらテキストのコピー、ペーストができる。

写真の貼り付け

iPhone、iPadはもちろんカメラで撮影した写真を任意の位置に配置できる。配置できるのはiOS端末のライブラリの他、クラウドに保存したファイルからも選択可能。クラウドストレージにアクセスして端末のライブラリに保存してから取り込みといった面倒な手順は不要だ。編集中の文章内では「IMG」でハイライトされ、文章をHTML、WORD、PDFに書き出すときに全体イメージとともに写真が表示される。写真サイズはUlyssesアプリ内で自動調整となっているため、写真のサイズ変更やキャプションを挿れるようなことはできなさそうであった。

写真を挿入する際にさらに生産性を上げるには、あらかじめ挿入する写真をエディットした後、特定フォルダやクラウドストレージに整理した上でWorkflowアプリから複数枚を一度に流し込むといった方法も簡単に構築できる。設計書や、手順書、マニュアル作成など大量の写真を流し込むような作業には最適だろう。

写真の読み込みフローは以下にシェアしておく。
https://workflow.is/workflows/103908bf4e2c491982250b29a324722c

実際に写真を入れるには、あらかじめ作成する文書のIdentifierをフローに入力しておく。Identifierは選択 > 詳細 > 共有 > コールバックの識別子をコピーで、クリップボードに保存される。


Word、PDF形式への書き出しをサポート

作成した文章は、シェアしたり別のアプリで編集、整形したりする。シェアする相手が同じアプリを使っているとは限らないので、多く使われているWordやPDFに書き出せるというのはデータ再利用の観点では必須という認識。

書き出せるフォーマットも多数用意されているため、テキスト入力中にレイアウトを考慮しながら入力するというより、入力し終わった後に最適なレイアウトを選択するといったフローの方が快適だ。


iPhone、iPad連携

デスクから離れて移動するときなどiPhoneで内容を確認したり、ちょっとした追記、修正をしたりというのはよくあるシチュエーションだ。Handoffを利用してアプリを開いた瞬間に最新のファイルを見られるというのは、今や当然のことだけど、意外に反映までにタイムラグがあるアプリも多い。この点iCloudを使っているからか、Ulyssesはかなり高速。試しにiPhoneとiPadで同じファイルを開き編集してみたところ、標準メモアプリには及ばなかったが、Wordよりは互いの文書の反映は高速といったところ。ただし後述するテーマはなぜか反映されなかった。

iPadをオフラインで利用しているとマージがうまくいかずエラーになるが、アラートがわかりやすいので誤って必要な文章を消すといったこともなさそうだ。

費用の観点でもユニバーサルアプリの対象であることは重要。アプリの価格が3,000円と高額なので、iPad、iPhoneそれぞれに課金する必要がないのは助かる。macOSにも対応しているようだけど、基本的に文章はiPadで書くことが多いためインストールはしていない。

入力済み文字数の認識

文字数だけではなく、単語数、文の数、行数、ページ数は常時確認する設定も可能だ。表示させる内容は文章を読んだ時に掛かる時間や空白のカウント有無など細かい設定もできるので、文章の目的に応じて表示させておく。

少し変わった機能として目標文字数を設定すると進捗状況が画面右上に円形プログレスバーで表示される。入力や閲覧の邪魔になるような場所ではないし、おおよそにはなるが、手順を踏まずに状態を把握できるので、これは良いアイデア。

右カラムを開くと目標文字数を設定できる。


背景や文字色が変更できる

マストな機能ではないけど見出しや強調表示が色分けできるのは、俯瞰した時や文章を構造化するときには非常に助かる。テーマもいくつかあってシートごとに設定できるため、好みの背景色、強調文字色から選択することもできる。

気に入ったテーマがなければ、ギャラリーからのダウンロードも可能だ。

スタイルギャラリー
http://styles.ulyssesapp.com/themes/?ref=umobile\_prefs

フォントに関してはWordのように明朝体など多くのなかから選べるわけではないが、複数の選択肢があるので、背景色、文字色同様にある程度好みのものを選択できる。


アプリの価格

上述したがアプリの価格は3,000円となっていて、テキストエディタとしては高額な部類に入る。ただし価格以上の価値は十分に提供してくれるはずなのでコストパフォーマンスとしては優れているはずだ。下手に複数のアプリを買って検証するよりも、価格に躊躇せずUlyssesを購入しておけばよかったというのが感想。App Storeでの評価が高いのも頷けるアプリだと感じる。

使い方

今のところ、メモはOneNoteとiOSの標準メモアプリを引き続き使っていく予定。メモした内容は必要な時、必要な分だけUlyssesに取り込み編集する。体裁を整えたり第三者と共有するケースではWordに取り込んで再編集しシェアするといった想定。さらに使い込んでいって細かいメモなども上手く取り込めるようであれば、メモ関係は全てUlyssesに統合してもいいかも。

WindowsやAndroidにプラットフォームを移行した時はのことを考慮すると不安は残るが、現状、iPadやiPhoneでいつでもどこででも書き始め、編集、シェアできる環境が手に入りつつあるので、しばらくは大きな移行を検討する予定はない。

もう少し未来の使い方予想

ブログへの投稿

近い将来はUlyssesからはてなブログへの投稿も検討したい。ざっと調べたところWordPressやMediumへの投稿はできているので、少し時間を掛けて工夫すればできないことはなさそうという認識。

iPhoneで完結

iPad Proと外部キーボードの組み合わせで入力できる文字入力速度をiPhoneで超えられれば生産性はもっと上がると考えている。

ユーザー側では可能な限り情報を整理したり入力を自動化したりする努力は必要だけど、その他にも予測変換の向上、3D Touchの拡充、音声入力の様々な制限撤廃、認識率の向上、文章読み上げがより最適化できれば十分実現可能なはずだ。

2017年8月15日追記
Ulyssesの価格が買い取りからサブスクリプションプランに変更されるとのこと。

Ulysses Switches to Subscription | Ulysses Blog


・今までは別々に購入する必要があったMac版とiOS版の両方を利用可能になる
・サブスクリプションプランは日本円で月額¥550、年額¥4,400のいずれかから選択
・既存ユーザーの場合は、年間サブスクリプションにUS$10がディスカウントされ提供される
・新規ユーザーには14日間の無償トライアル期間が付与される

3000円の一括払いプランで3年も4年もアップデート、サポート、バグ対応を受け続けられるのはユーザにとってはいい話だけど、デベロッパーにとっては、長期的に提供し続けるのは難しいはずだ。ソフトウェアは一括で購入するよりサービスとして提供されるのはトレンドで、個人的にも好ましい移行だと思う。


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