EPISODE 02

モバイルワークを試行錯誤するブログ

Apple PencilとMontblanc Meisterstuck 146

アナログとデジタル

個人的にアナログとデジタルをどう棲み分けるのかは何年も前から課題になっていて、いつまで経ってもベストな解が見つけられないでいる。PDAの時代からPalmのGraffitiみたいな半分手書きのような入力方法はあって、誰もが試行錯誤しながら快適なアウトプット方法を模索していた。でも結局どれもこれも中途半端で、結局アイデア出しや資料の下書き、適当なメモは紙とペンが一番だよね、っていう結論になる。特に万年筆と紙のノートブックを組み合わせた時の書き味とインクの濃淡は良いアイデアが出やすい(気がする)のだ。


万年筆 Montblanc Meisterstuck 146

ここ何年かは仕事でもプライベートでもアイデア出しや資料の下書きに、モンブランのマイスターシュテュック146という万年筆を使ってきた。使った人はわかると思うけど、このペンは数ある万年筆の中でも至高の書き味なのだ。黒光りする軸からキャップを外し、紙に触れた瞬間から書き終わるまで途切れることなくインクが供給される。なんのストレスもなくヌラヌラ書けるペン。使い込むほどに書き味は自分に合ったものになってゆく。ただ価格もそれなりで、一本8万円ほどとiPad Proが買えてしまう価格設定。加えて万年筆はタチの悪いことに一発で好みのペンに辿り着くことはなく、何本も取っ替え引っ替えして、ああでもない、こうでもないとやるものだからすぐにパソコンやタブレット何台分も散在するのだ。加えてインクと紙にまで拘りだすと、文具屋に通いつめるようになる。神田の金ペン堂や銀座伊東屋には何度訪れたことか。

Apple Pencil

購入の経緯

手書きメモのデジタル化は散々試して、これまでWACOMのスタイラスペンやSurface ペンなども使ってきたけど、どれもしっくりこない。やっぱり手書きメモ同様に使えるデジタルペンはまだまだ無理なのかと諦めかけていた中登場したApple Pencil。発売当初は品薄状態だったため、しばらく存在すら忘れていたけど、先日買い物で訪れたヨドバシカメラに在庫があったので試しに買ってみた。価格は1.2万円だったので、国内メーカが売っている万年筆のスタンダードモデルと同程度か。

書き味

充電は万年筆にインクを入れる作業に似ている。インクの代わりに電気を入れる感覚。充電時間は早いし、当たり前だけど万年筆のようにインクで手は汚れないし、iPadに差し込む充電方法は違和感あるけど、書き出す前の準備は至極快適。

試しに書きに使ったのは標準アプリのメモ。Apple Pencilに対応したアプリを調べてみたけど、アップル謹製でApple Pencilに対応しているアプリはメモだけしか見つけられなかった。PagesかKeynoteが対応していると面白いことできそうなのに。

実際に書いてみるとやはりガラスにプラスチックを押し当てている書き味で、紙にペンで書く時のペン先から伝わる弾力や剛性、紙の抵抗感を感じることはない。文字通りガラス一枚挟んで書いている感触で、ペンと紙のように思考→手→ペン→紙が一直線に繋がった書き味を期待していたが、少し欲張り過ぎた。この辺りはアプリやOSで紙とペンの感触に近づける工夫ができると、また違ってくるはず。

また長文筆記や資格の勉強で書き殴るなどといった用途では素直に紙とペンを用意した方が効率は良いはず。雑に書いても良いメモやイラスト程度が限界といったところ。

Apple Pencilのメリット

とはいえ、デジタルならではの修正や消去、シェアという観点では圧倒的にペンと紙よりも優位だし、キーボードで入力したテキストと手書き図表を組み合わせたメモスタイルには新しいワークスタイルを感じることができる。PowerPointで何時間も掛けて細々とした図を作るより、ホワイトボードに数分で書いた落書きの方が伝わりやすいのと同じ。これからはiPadでざっと書いたメモをそのまま資料に貼り付けてしまった方が、説得力のある内容になるのかもしれない。

PDFへの注釈、赤入れは文句無し。残念ながらiBooksはApple Pencilが使えないがAdobe Acrobatで利用できるので色々落書きした。個人的にはこの赤入れ作業がApple Pencilのメリットを最大限に生かしていると感じる。

Apple Pencilに期待する

今すぐにペンと紙の利用を取りやめるほどではなかったけど、音声入力同様に手書き入力は生産性の向上や思考の手助けをしてくれる可能性は持ち合わせているはず。将来的にはAppleだけではなくモンブランやペリカン、パイロットなどのステーショナリーブランドがApple Pencilに代わるペンやアプリをリリースすれば盛り上がると思うのだが。