EPISODE 02

モバイルワークを試行錯誤するブログ

Huawei MateBook EとHHKBで最高のテキスト入力環境を構築する 

2年ほど前に購入したSurface 3(4G LTE)のLTEの契約期間が切れるので、回線を解約して端末は廃棄するか、新しい2 in 1PCへ買い換えるかを考えていた。買い替えるのであれば、後継機の候補はSurface Pro もしくは Laptopを検討するの自然なのだろうけど、Surfaceには軽いトラウマがあって、初代のRTを発売日に、そして2年後にSurface3(4G LTE)を購入した。両方共に期待が大きすぎたせいか結構ガッカリポイントが多く、いつの間にか利用頻度が下がり、ここ数カ月は電源も入れずに放置している状態。そういう背景もあって今回は別のメーカにスイッチする前提で検討することに。

主な用途はWebやPDF資料の閲覧とテキストの入力。その他の用途を考え出すとキリがないので、今回はいかに快適に文章を入力できるかという観点で検討した。

iPad Proとの棲み分けとiOSへの不安

タブレットはiPad Pro9.7を持っているので、両者の棲み分けにも悩んだ。この際2 in 1はやめてiPad Pro 12.9に一台に纏めてしまうのもありなのかなと。

ただ気になっているのはiOSの未来。今秋にリリース予定のiOS 11の内容をざっと見てみる限り、これならWindows10の方が汎用性、利便性ともに上回るのでは?という気持ちに傾いている。iOSにはmacOS、Windowsにはない切り口で、生産性を向上するためのワークフローが構築できるはずだ、と期待して色々と検証してきたつもり。

今秋にリリースされるiOS11の新機能も気になっていて「ファイルアプリケーション」、「Dock」、「マルチタスキングUI」、「ドラッグ&ドロップ」などにも注目していたけど、結局の所これってPCやMacのUIに近づいているだけなのでは?というのが率直な印象を受ける。実際に製品版で使ってみれば全く違う感想を持つ可能性もあるけど、今のところiOSの向かう方向に違和感があって自分の中でうまく消化できていない。

用途によってはmacOS、Windowsと比べてiOSの方が優れてい部分は多いし、様々なアプリや周辺機器、ソリューションを提供するベンダも多い。お気に入りのMarkdownエディタのUlyssesもあって、このエディタのためにiPadを使っているといっても言い過ぎではない。ただ、アナログなノートに取ったメモ、Web、PDF、YouTube、オフィスアプリなどを参照しながら、テキスト入力をする作業を想定した場合、現時点でiOSを使うメリットが以前に比べて減ってきている印象はある。

クライアント端末やOSを選ぶときには、タッチUI、ペン、マウス、キーボード、外部ディスプレイ、音声入力の全てに対応していて、シーンに応じた最適な入力方法、出力方法を選択するのがベストという認識でいるけど、iOSはタッチUIとキーボード、Apple Pencil、音声入力のみという縛りがある。色々工夫しながら生産性をあげようとはするけど、やはり限界は低いのではないかという懸念。

MacBookでも良いけど、あのキーボードは慣れたとは言え、長時間のタイピングには向いていない。その点Windows10のタブレットであれば、好きなキーボードとマウスが使えるし、ディスプレイなどの周辺機器との連携にも不安はない。ということで、今回はWindows10が搭載されたタブレット端末から選定することにした。

購入にあたり検討したポイント

  • 本体の重量が1kg以下であること
  • USB 3.1 Type-Cポートがあること
  • 液晶が12インチ以上であること
  • 外付けキーボード、マウス、ディスプレイが利用できること
  • 生体認証でOSにログインできること
  • Windows 10 がプリインストールされていること
  • 価格はSurface Pro同等もしくはそれ以下であること
  • バッテリが実働で4時間以上は利用できること

購入にあたり以前から気になっていたのがHuaweiのMateBook E。最近購入したHuaweiのスマートフォンP10の仕上がりが想像以上に良かったこともあって注目していたのだった。

軽く店頭のデモ機を触ってみたけど、見た目動作ともに特に気になる点もなさそう。その他の2 in 1PCと並べて展示してあった他のPCメーカとの端末と比べても見た目のクオリティは決して低くなく、むしろ見た目のクオリティは相当高い部類に入るのではないかという印象すら感じる。

ハードウェア以外で気になるのは、Huaweiの2 in 1 PCを周りで使っている人を見たことがないということと、保守やサポートの観点でPCメーカ同等の対応が期待できるかということ。アフターサービスは特に気になるので、この点を中心に質問してみたけど、修理や不具合などの対応は銀座のカスタマーサポートの店頭でスマートフォンやタブレット同様に対応してもらえるとのこと。法人で大量の台数を使うケースでは、保守契約など検討が必要になるかもしれないが、数台であれば問題ないはず。あまり長い時間検討するのもあれなので、思い切って購入してきた。

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付属品はキーボード、USB Type-CのACアダプタ、USB Type-C to Cケーブル、Type CからType Aへの変換ケーブルと、ドキュメント類というシンプルな構成。

カタログスペック

機能 仕様
ディスプレイ 12インチIPS/解像度 2160 x 1440
タッチパネル 静電容量式, 10-point
CPU 第7世代インテル Core m3プロセッサー
OS Windows 10 Home 64-bit
メモリ RAM:4GB /ROM:128G
カメラ 約500万画素
スピーカー デュアルスピーカー
コネクター USB-C x 1/ヘッドフォンジャック x 1

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本体

箱を開けて触れてみると質感は非常に高く、感触はiPad Proと変わらないかそれ以上。ここまで作りこんでくるのには正直驚いた。

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厚さは6.9mm、重量が640gというのは、iPad Pro 12.9のそれとほぼ同等。なぜかiPad Pro 12.9よりコンパクトに感じるし、このサイズ、重量でファンレスかつWindows 10 Proがインストールされているというのは、Huaweiはよくわかっているなぁ、と感心してしまう。

キーボード

上述した通りオプションではなく、標準添付品。

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本体との接続は無線ではなく、iPad ProやSurfaceのキーボードと同様に専用の接続ポートで行う。

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スタンドの角度は無段階のため、自分の好みの位置で固定できるため使い勝手は良さそう。肝心のキーについては、キーストロークも、キーピッチもそれなりに確保されているし、JISキーボードも変則型ではないので違和感なく使うことができる。トラックパッドはWindowsのノートPCと比較してもかなり優秀な部類だと思う。ファーウェイクラスのメーカでも日本のユーザの使い方ときちんと理解して、製品投入してくれているのはありがたいなと。

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ただしこのキーボードのウィークポイントとして、見た目の割に結構重量があって本体と合わせて使うと、その重量は1.1㎏を超えてしまうこと。これなら、自分の手持ちの気に入ったキーボードとマウスを持ち運ぶのと変わらないし、デスクで占有される面積は、標準のキーボードより少なくなるのだ。

HHKB BTとLogicool M590で使ってみる

前述した通り、やりたかったのは好きなキーボードとマウスを使ってテキスト入力したいということから早速試してみる。

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PFUのHappy Hacking KeyboardのBluetoothタイプ。

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これ、結構有名なキーボードで、熱心なファンも多い。静電容量無接点方式ということもあり、当然ながら打鍵感に文句はない。MateBook Eとの接続はBluetooth接続。当たり前だけどWindowsはもちろん、iOSやAndroidなどでも利用することができる。若干打鍵音が気になることもあるけど、決して不快な音ではないので、オフィスやカフェなどで使えないというほどではなさそう。

キーボードのサイズは294mm×120mm×40mmで重量は540g。MateBook Eの横幅が278.8mmなので、サイズ感も丁度いい。MateBook EとHHKBを合わせた重量は1,180gなので、頑張れば持ち運ぶこともできそう。欠点があるとすればHHKBに慣れてしまうと他のキーボードが使いにくくてしかたなくなる点と、3万円というキーボードとしては高額なところか。

マウスはLogicool M590。先日エントリーした通り現時点で最高のマウス。

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しばらく使ってみたが、この組み合わせは現時点で最も理想的な入力環境。WordなどA4縦のドキュメント編集時には、本体をポートレートモードにするとかなり作業が捗る印象。全て持ち運ぶと標準のキーボードと比べて若干重くなるが、それ以上の見返りはありそうだ。当然言えば当然だけど、外部ディスプレイへの接続も通常のWindows端末度同様に可能なので、自宅やオフィスでより快適に利用できる。

タブレットは好きなキーボードとマウスが使えるのがメリットの一つなので、キーボードカバーについては標準添付ではなく別売りでもいいと思う。

Windows Hello

MateBook EではWindowsへのログインに指紋認証が採用されている。購入前に店頭で試すことも難しかったので、あまり期待せずに使ってみたけど、反応は上々で特に気になるような部分はなく快適にログインできる。このあたりもスマートフォンで培ったノウハウを活用できているんだろうなという印象。指紋認証でのログインがベストなソリューションとは思わないけど、とにかく今後はパスワードやPINの入力から卒業できそうだ。

外部接続ポート関連

外部接続ポートは、USB Type-Cと3.5mmのヘッドフォンジャックがそれぞれ1ポートずつ。

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MacBookを使いだしてからポート類の少なさに対応するソリューションはそれなりに構築できているため、個人的にはポートの少なさが課題になることはなさそう。

ACアダプタとケーブル

ACアダプタは5cm×5cmと小型。ただ金属部分が本体に収納できないため、持ち運びは結構気を遣うかも。

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以前に購入したXiaomiの充電器の方が使い勝手は上かなと。

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ACアダプタの出力は5V/3A,9V/3A,12V/3A,15V/2.66A,20V/2A

実際にXiaomiのACアダプタとPD対応のケーブルを使って充電してみたが特に問題なさそう。残3%から充電完了まで1.5時間程度と標準添付のACアダプタと変わらない。

バッテリ容量が3,370mAhと今時のスマートフォンと変わらないサイズなのが気になるが、充電も早いし、いざとなればスマートフォン用のモバイルバッテリーを使って充電することもできる。公式にはPower Delivery対応とはなっていないようであるが、対応はしていそうな感じ。

ケーブルに関しては長さが1mとなっていて、モバイルを意識した仕様。自宅や会社のデスクの環境によっては足りないといったシーンもありそう。AnkerのPowerLine+のように高耐久ナイロン、ケブラー素材を採用したケーブルと比べると若干心許ないため、添付されていたケーブルは予備として保管することにした。

ディスプレイ

ディスプレイは12インチIPS液晶でsRGB 100%、解像度は2160 x 1440ピクセル、アスペクト比は3:2。(参考値としてiPad Pro 12.9は2,732 x 2,048ピクセル、iPad Pro 10.5が2,224 x 1,668ピクセル) 光沢液晶ではあるけど、発色もきれいで、タッチパネルの反応も良かったが、利用する角度によっては若干映り込みが気になることがある。iPad Proよりは映り込みが多く、Surface3よりは少ないといったところ。使う場所によっては気になることも多いので、液晶保護フィルムも検討することにした。

ディスプレイで注目したのはClariVuと呼ばれるファーウェイ独自の技術が採用されていること。環境や表示されるコンテンツに応じて表示が最適化される。実際に目にしてみないとわからない部分ではあるが、これは非常に快適で、真夏の晴れた屋外でもコンテンツをくっきりと視認することができる。一昔前のスマートフォンやタブレットのように、全く表示がわからないような状況になることはないはず。

アスペクト比3:2はランドスケープモードでもポートレートモードでも使いやすいと感じる。そろそろ16:9のディスプレイより3:2が普及してもいいような気がするがどうなんだろう。

ベゼルは同時期に発売されたLaptopのMateBook Xと比べると狭額縁ではないが、タブレットとして本体を持って使うことを想定すると、これくらいがちょうど良いのではないか。

CPU、メモリ、ストレージ

展開されているのは、Core i5 / 8GB /256GBとCore m3 / 4GB /128GBの2種類。今回はテキスト入力がメインで、あまりヘビーな使い方は想定していないためCore m3 / 4GB /128GBを選択した。一般的なOA用途であればCore m3 / 4GBで力不足を感じるようなケースはなさそう。Adobe Creative Cloudで、Premiereでガリガリ動画編集したり、ゲームやVRコンテンツを作成したりといった用途には向いていないことは明らかだけど。

ストレージは128GBと容量は少なめだけど、今回の用途では本体のストレージ容量は意識する必要はないので、これで十分という認識。アクセス速度は読み込み544MB/s、書き込み318MB/sとなっていてごくごく普通のノートPC程度。

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バッテリライフ

公称値の記載はWebや説明書ではバッテリでの利用可能時間は確認できなかったけど、Wi-Fiでインターネット接続、Bluetoothで周辺機器接続し、適当に使ってみた所、フル充電から5時間位で残3%となっていた。そのため本体バッテリだけで、丸一日気兼ねなく使えるといった感じではない。ただしこの機種の大きなメリットとして前述した通り5Vでの給電・充電が可能なため、スマートフォン用のモバイルバッテリを使うことで、電源がない場所でも継続して利用することはできる。大容量のバッテリを搭載して、本体重量を増やすよりもスマートフォンのような使い方の方が理にかなっているという割り切りか。

発熱について

たまたま夏の時期に購入したこと、ファンレスということから発熱は気になることろ。充電を行いながら、初期設定、ディスクの暗号化、Windows Update、アプリのインストールなどを同時、連続的に行ったときは、それなりに発熱していたようだけど、その後落ち着いてからは、気になるような熱さは感じない。またメタルボディということもあって、普段使うには熱に気を使うようなことはなさそう。未検証だけどCore i5だともう少し発熱するのかもしれない。

カメラ

カメラは500万画素のインカメラが採用されていて、アウトカメラは無し。これはSkypeやTV電話などを想定しているはずなので、写真や動画が特別良く取れるというわけではない。タブレットのカメラでは、写真を撮影するシーンはほとんどなさそうなので、アウトカメラが搭載されていないことは気にならない。写真撮影はスマートフォンの方が圧倒的に利便性は高いし、アプリも豊富なので、敢えてここでカメラに拘る理由もないと思う。

全体的な印象

購入前にHuaweiのWebサイト、Instagram、Twitterのハッシュタグで検索してみたけど、どのようなユーザがどのような用途で使っているのかイマイチピンとこなかった。個人的には自宅や職場のデスクで、寝る前のベッドの中で、新幹線の座席で、カフェのテーブルでとOfficeアプリから動画の閲覧までざっと使ってみたけど、Surfaceと比べて使いにくいなといった印象は持っていない。

MateBookとクラウド環境があれば、仕事も遊びも十分にこなせると感じるので、モバイル中心でスマートフォンやAndroidタブレットでは力不足を感じるようなユーザにマッチするのかなといったところか。当初想定したテキスト入力程度の使い方であれば、オーバースペックかも。

PCメーカのようにPCから2 in 1PCへのアプローチではなく、スマートフォン、タブレットの実績が豊富なメーカが2 in 1PCを作ると、こうなるのか!という感想で、スマートデバイスの設計・製造ノウハウを上手く活かしているんだな、というのが伝わってくる。

欲を言えば、LTEモジュールが搭載されていればもう少し想定されるユースケースは増えるような気がしているけど、この辺りはHuaweiのスマートフォンとの連携などを考慮した結果なのだろうか。

今はMateBook Eに最適なエディタを探しているのと、Huawei P10との連携も気になるところ。 これについては別途エントリする予定。